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日本初の下水処理施設での本格的TPM活動 : 東京都下水道サービス(株) 様

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 製造現場で活用されるTPMの手法を、社会インフラ分野で導入する動きが出始めています。 東京都の下水道事業を請け負う東京都下水道サービス(株)が展開するTPM活動が、名古屋で開催した「下水道展'10」(会期:2010年7月27日~30日、主催:日本下水道協会)のポスターセッションで紹介されました。【写真・下】

 ポスターセッションの後、活動の推進サポートを担当する弊社コンサルタントとともに、モデル事業所である葛西事業所での展開状況について取材させていただきました。
【2010年7月28日(水)、「下水道展'10」会場にて】 

■取材のお相手
東京都下水道サービス株式会社 
 岡田 典之 様 <葛西事業所 副所長> 
 佐々木 道美 様 <施設管理部 施設管理課 課長補佐(葛西事業所 保全管理担当)>

■取材内容
1.TPM導入のきっかけ、活動のねらい
2.活動の進捗、特徴、悩み
3.成果、今後の計画
4.担当コンサルタントからのコメント


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1.TPM導入のきっかけ、活動のねらい

■ 導入のきっかけ (2007年9月・TPM導入宣言)
 TPMの導入は、2006年に他事業所で発生した労働災害がきっかけです。その事故を教訓に安全管理を一層徹底することになり、葛西事業所がモデル安全職場に指名されました。葛西事業所では3年ほど5S活動を続けていましたが、それを機に活動のレベルアップを図ることになりました。

 東京都下水道サービス(以下、略称のTGSと表記)は、都の下水道事業を補完・代行する第3セクターで、組織的にはプロパー人材のほか、都派遣、都のOBや、民間企業出身者などで構成する混成部隊です。 また下水(汚泥)処理を担う葛西事業所の当時の職場環境は、典型的な3K職場といえました。

 そんな条件下できっちりと安全・安心を確保するには、コミュニケーションを重視した活力ある現場づくりが必須となります。 また事業所の課題として、事業の効率運営の必要にも迫られていました。 こうした背景から、全員参加で現場力向上と効率化を目指すTPMの採用が決定し、2007年9月に導入宣言を行ないました。 

■ 活動のねらい (3つの視点と目指す姿、2つの基本方針)
 TPM導入にあたっては、都民へのサービス向上を前提として、(1)「安全・安心」の確保 (2)現場力の向上 (3)事業の効率化 の3つの視点から、めざす姿・基本方針・目標などを設定しました。

 具体的には、汚泥処理工場(=3K職場)からの脱却、すなわち、葛西事業所のめざす姿を 『ケーキ工房・窯や』とし、以下の2点を基本方針に掲げました。

TPMの基本方針

 「万能で高い技術力を持つオペレータ」というのは、かなりハードルの高いイメージかもしれませんが、お互いの業務を学びあうという目的をもって、運転・保全双方の選抜メンバーが1年間職場を入れ替わるようなローテーションを実施したり、計画的な教育・訓練を行なうことで実現しようとしています。

 

2.活動の進捗、特徴、悩み

■ 活動の進捗 (2008年5月・TPMキックオフ、5つの部会で活動中)
 先に述べた基本方針づくりや、マスタープラン作成、導入教育、職制モデルによる自主保全活動など7ヶ月あまりの準備期間を経て、2008年5月30日にTPM活動をキックオフしました。

 当初のマスタープランから少し見直した部分もあり、現在は自主保全、個別改善、教育訓練、安全衛生、管理間接という5つの部会を中心に活動を進めています。

TGSベストミックス体制■ 特徴 (ベストミックス体制、本社のサポート)

 TGSの従業員はプロパー、都派遣、都のOB、民間と出身母体が多岐にわたります。 そこで、「それぞれの特徴を活かした、コミュニケーション重視の連携・積極的関与」という基本姿勢を打ち出しました。これを私たちは強いこだわりをもって『TGSベストミックス体制』と呼んでいます。(右図)

 活動の主体はもちろん葛西事業所ですが、研修予算の確保なども含め、本社サイドも当事者意識を持ってしっかりサポートしてくれています。

 また、定期的にJIPMソリューションのコンサルタントにも来てもらっています。導入後に予想される様々な疑問や問題を考慮し、外部の専門家を招くことは最初から決めていました。 活動準備の段階からサポートが得られ、助かっています。

■ 推進上の悩み
 推進上の悩みとしては、TGSが使用する設備は東京都の持ち物であり、改善案が出ても機動的に実施できない場合がある点、活動の全体的な成果が定量化しにくい点などがあげられます。成果指標については、コンサルタントにも相談しながら徐々に体系化を進めているところです。

 また業務の性質上、入ってくる材料(下水)は拒めない、事前の受け入れ検査ができない、といった点も難しいところです。

 

3.成果、今後の計画

■ 成果 (重点目標は順調に消化)
 キックオフから2年あまり経過しましたが、当初目標として掲げた無事故継続10万時間は、まもなく達成の見込みです。故障・トラブルは2007年度比で半減(期限:2011年7月)が目標ですが、2009年度末で30%の削減ができ、達成の目処がたちました。「見える化」による改善事例

 活動自体もだいぶ板についてきたと感じます。重要設備を対象に週2回・1回あたり2時間の活動時間を確保していますが、それ以外は概ね日常作業の中で取り組めるようになりました。
(右の写真は、「見える化」による改善活動の一例)

 ■ 今後の計画
 導入時にたてたマスタープランでは、2011年3月までのスケジュールを明確にしています。その中には、外部からの評価を仰ぐという意味でTPMチャレンジ賞の受審も計画に入れています。それらが一段落した後には、TPM優秀賞(カテゴリーB)への挑戦も念頭に入れて、活動をレベルアップしていきたいと考えています。

 

4.担当コンサルタントからのコメント
  【取材に同席した弊社コンサルタント・本多嘉夫(TGSのTPM推進支援を担当)のコメント】

 葛西事業所では、コミュニケーションを重視した「ベストミックス体制」でTPMに取り組んでいます。そうした中で、着実に活動をステップアップする触媒役になることが、私の重要な役割の一つだと考えています。事業所の皆さんはもちろん、本社の関係者の方も積極的に参画いただけるので、とても感謝しています。

 また、活動を活性化するには、ふしめ節目で達成感を味わうことが大切です。成果の表現に試行錯誤の点もありますが、第三者も自分達も双方に分かりやすい、納得できる指標を一緒に考えていきましょう。TGSの中では他にもTPMに取り組む事業所が出てきました。今後ともよろしくお願いいたします。 

 

写真・左から順に、

取材にお答えいただいた  岡田 典之 様
【東京都下水道サービス(株) 葛西事業所 副所長】

担当コンサルタント  本多 嘉夫 【JIPMソリューション】

取材にお答えいただいた  佐々木 道美 様
【東京都下水道サービス(株) 施設管理部 施設管理課 課長補佐(葛西事業所 保全管理担当)】

発表のアシスタントを担当された  阿久根 洋一 様
【東京都下水道サービス(株) 葛西事業所 保全管理担当 主任】

 


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