
ニュース&トピックスのコーナーを使って、『役員が語るモノづくりの心』と題した、弊社役員からのメッセージを連載しています。第7回は、中野金次郎(取締役副社長)が担当します。
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新年明けましておめでとうございます。
製造業にとって、2009年は忍耐の年となりそうです。この苦難の年に、弊社は社員、コンサルタントが一丸となり、「製造業はもっと強くなれる」の思いを胸にお客様の期待に応えられるよう頑張る所存です。今年もよろしくお願い申しあげます。
さて、昨年後半から、アメリカのサブプライムローンの金融破綻に始まった金融危機で実体経済にも100年に一度の未曾有の影響を与え、世界同時不況の懸念の中、大変革の時期に入ったと感じられます。同時にアメリカのビッグ3の経営破綻騒動は、我々ものづくりに携わっている者にとって大いに考えさせられる出来事です。なぜなら、この問題は金融危機が引き金ですが、実はアメリカ流のモノづくりの終焉を示しているのではないかと見受けられる点が多いからです。
なぜでしょうか? 日本の製造業の現場は、戦後の厳しい労働争議を経て生まれた日本的慣行としての「労使協調」路線が、製造業を世界のものづくりNo1につくり上げたといっても過言ではありません。労働者は自らの労働を、単に製品である「もの」を造るだけではなく、その過程で発生する「問題」を自ら考え、改善するものとして受け入れる労働観に裏打ちされています。
一方、アメリカを中心とする欧米の労働観は、「賃金を労働の対価」と考える働き方が支配的で、労使はその面での対立が強くなる傾向にあります。したがって、日本のように職場の問題を自らの問題として取組む「改善」の風土は醸成されにくい状況にあります。欧米の現場労働者は能力的な問題より、労働慣行として日本のような働き方をしていないだけだと言えます。その証拠に、彼ら個人の家庭ではガレージに仕事場を持ち、各種のハウスキーピングを嬉々として行っている所を、私は何度となく目にしています。
そう考えると、2009年を変化点として、日本的なモノづくりの考え方が世界をリードする時代に入ったと思われます。ただし、日本もバブル経済破綻後の失われた10年の間に経営のグローバル化、欧米化一辺倒で、現場力が相当に低下していることを我々はしっかり認識し、良き日本的モノづくりの原点に立ち戻って、現場力強化に全力を投入する時期にあると考える必要があります。
あらためて、日本的モノづくりの良さを問えば、それは改善(KAIZEN)にあります。改善には3つの特徴があると思います。一つは自ら造るということ、二つ目は自ら工夫すること、そして三つ目は達成の喜びが得られることです。これが現場で全ての従業員のやる気を醸成し、仕事に強い人材育成につながるのです。また、こうした活動が日本的な小集団活動で行われることも特徴です。その中で、末端のグループをリード(管理)するリーダー(日本でいう班長や組長等)が、非常に成長しやすい組織運営がなされている点も見逃せない所です。
戦後の高度成長とその後の日本企業の成長を支えてきたのはこの現場の強さであり、今後もこの強さをより鍛え上げ、グローバルな市場競争で優位を保っていきたいものです。
反面、欧米から学ぶべきは、モノづくりで「何をつくるか」といった開発技術力の問題と、それを「どうつくるか」といった生産技術力であり、トップ経営者としては、強い現場を積極的に活用した取組みが急務であることをしっかりと認識してもらいたいものです。
日本のモノづくりは根底に強力な基盤を持っているといえます。危機に直面した今、むしろ日本のものづくりを世界に広める絶好のチャンスととらえ、製造業全体が勇気を奮い立たせたいものです。
JIPMソリューション 中野 金次郎
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