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自主保全は、オペレーター1人ひとりが全員参加で、自分の使っている設備の管理を行い、設備を正しい姿で維持し、正しい運転を行う活動です。TPMの中でも最も基本的で、特徴的な活動と位置づけられています。
設備の管理といえば、従来は保全部門の仕事とされ、オペレーターにとっては「私つくる人、あなた直す人」という考え方が当たり前でした、しかし、これでは保全部門がどんなに頑張っても、設備の潜在欠陥(故障にはいたっていないが、いつかは故障を引き起こすような欠陥)をなくすことができません。また正しい使い方への改善を行うこともできません。
つまり、製造現場は「強制劣化の塊」といった状態といえます。この「強制劣化の塊」の状態を打破するために、自主保全活動で「自分の設備は自分で守る」ことが大変重要になってきます。

自分の設備を自分で守るためには、『設備に強いオペレーター』にならなければなりません。オペレーターは単にオペレーションだけを行うのではなく、簡単な修理や改善にも取り組むことが大切です。自動化・ロボット化が進めば進むほど、その必要性は大きくなります。
現代のオペレーターに最も要求されるものは、異常を発見し、それを処置・回復し、維持できる力を持つことです。具体的には次の4つの能力があげられます。


自主保全は7つのステップに分けて実施しますが、その基本構成は3つの段階に分けられます。
第1〜第3までのステップで、設備の清掃・点検を中心とする活動を通じて、設備の基本条件を徹底的に整備し、その維持体制をつくりあげる段階です。
“手を汚し・工夫し・苦労する”を徹底する重要なステップで、なかでも基本条件の整備である清掃・給油・増締めの3要素は、劣化を防ぐための最低必要条件であり、すべての活動のベースとなるものです。
第4〜第5までのステップで、設備総点検技能教育と点検の実施により、劣化を防ぐ活動から劣化を測る活動へと発展させ、五感から理屈に裏付けられた日常点検ができる『設備に強いオペレーター』を目指す段階です。
成果が出て人が変わり、不良・故障は現場の恥であるという雰囲気が作り出され、真の自主管理体制づくりに踏み出す重要なステップとなります。
第6〜第7ステップは、標準化と自主管理の仕上げの段階です。オペレーター自身が必要な保全技能の完成を図ることで、オペレーターと現場が大きく変わり、自主管理の職場となります。




| ステップ | 名 称 | 活動内容 |
|---|---|---|
| 第1 | 初 期 清 掃(清掃点検) | 設備本体を中心とする ゴミ ・ ヨゴレの一斉排除と給油、増締めの実施および設備の不具合発見と復元 |
| 第2 | 発生源・困難個所対策 | ゴミ・ ヨゴレの発生源、飛散の防止や清掃・給油・増締め・点検の困難個所の改善による清掃・点検時間の短縮 |
| 第3 | 自主保全仮基準の作成 | 短時間で清掃・給油・増締め・点検を確実に維持できる行動基準の作成 (日常、定期に使用できる時間枠を示してやることが必要) |
| 第4 | 総点検 | 点検マニュアルによる点検技能教育と総点検実施による設備微欠陥摘出と復元 |
| 第5 | 自主点検 | 能率よく確実に維持できる清掃給油点検基準、自主点検チェック ・ シートの作成 ・ 実施 |
| 第6 | 標準化 | 各種の現場管理項目の標準化を行い維持管理の完全システム化の推進 (現場の物流基準、データ記録の標準化、型治工具管理基準、 工程品質保証基準 等) |
| 第7 | 自主管理の徹底 | 会社方針・目標の展開と改善定常化によるムダ排除・コストダウンの推進、保全記録の確実実施と解析による設備改善の推進 |
自主保全では、各ステップを着実に実行し成果をあげていくための仕組みとして、『自主保全ステップ診断』を実施します。 具体的には、1つのステップが完了すると管理者やスタッフによる診断を受け、合格すると次のステップに進むという方式で、展開を図ります。
『自主保全ステップ診断』の目的は、活動が当初の目的にかなうように、各ステップのねらいをどこまで理解し徹底してやっているかについて、指導的立場にある上位集団が活動の進め方や現場の実態に関する診断を通して把握し、サークルの持つ悩みや問題点について明らかにし、指導・援助を実施していくことにあります。
したがって、単純に合格・不合格を判定するのでなく、サークル員とミーティングを行い、今後何をしなければならないかを相互に共有することが重要です。



エフ(絵符)とは「絵札」のことで、設備の不具合や5Sの不備など、すべての不具合につける絵札のことです。エフは、どこにどのような不具合があるか、その場所と処置内容を忘れないために、また不具合の処置漏れを防ぐために、不具合個所に日付や発見した人の名前、不具合の内容を記入して取り付けることを基本としています。このエフを不具合個所につけていく作業を『エフ付け』といい、エフ付けした後に不具合を直してエフを取りはずす活動を『エフ取り』といいます。
エフは、「ここに不具合があるぞ! 早くなおして!」と訴えています。エフは不具合や改善の“見える化”の役割を担う、自主保全活動には欠かせない重要なツールとなります。


『目で見る管理』のねらいは、「生産プロセスの中で管理しなければならないものが、現在、正常なのか異常なのかを誰が見ても明確に判断できる状態にする」ことです。簡単にチェックできる状態をつくると、故障やチョコ停など結果系の異常ではなく、「おかしい、あやしい」レベルの原因系の異常を発見できるようになります。



自主保全を円滑に推進していくためには、サークル活動の活性化が欠かせません。そのためには、やる気・やる腕・やる場の3つの条件を整えることが重要です。この3つの条件を整えるためのツールの代表的なものが、「活動板」、「ミーティング」、「ワンポイントレッスン」で、これらをまとめて『自主保全 三種の神器』と呼んでいます。
活動板は、方針・目標・活動計画や進捗状況などを関係者全員で共有するためツールです。サークル毎に作成するサークル活動板は、自分たちの活動を推進するのに役立つだけではなく、次のような効果もねらっています。



ミーティングは、やる気・やる腕・やる場の条件を整備し、自主保全活動を定着させるための欠かせない活動です。ミーティングをうまく進めていくために、リーダーは次のようなことに注意するとよいでしょう。

現場での教育は、まとまった時間を多くとることがむずかしい場合が多く、また日常の繰り返しの復習がなければ身につきにくいという問題があります。そのような問題を解決するには、朝礼やちょっとした時間を利用して、日常活動の中で学習することが非常に有効です。「ワンポイントレッスン」は、5分程度で教えることを念頭に作成する教育ツールで、これを活用した学習は、自主保全活動ではさかんに行われています。
なお、「ワンポイントレッスン」作成にあたっては、次のようなことに注意するとよいでしょう。


